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2024年6月07日

制振ダンパーって必要なの?

木造注文住宅を検討していると「制振ダンパー」という言葉を耳にすることがあります。なんか地震に強いらしいけど「正直何なの?」「必要なの?」分かりにくいですよね。
今回のブログでは、「耐震」と「制振」の違いなど、制振ダンパーの基本的な知識を紹介します。

 

・制振ダンパーってなに?

制振ダンパー(せいしんダンパー)は、地震の揺れを吸収する装置で、建物の安定性や耐久性を高める役割を果たします。油圧式や摩擦式などいくつかの仕組みがありますが、その基本原理は、地震のエネルギーを吸収して、建物の揺れを減少させることです。

色々な形状・方式がありますが、柱・梁の内側、壁の中に設置し、建物が完成すると見えなくなります。

 

・耐震と制振って何が違うの?

建物の地震に対する強さと言えば「耐震」も良く聞きます。
「耐震」と「制振」は何が違うのでしょうか。

まず基本は
「耐震」は耐力壁で、建物の強度を向上させて地震に耐える能力
「制振」は制振ダンパーで、振動を吸収し揺れを少なくする能力です。

地震の揺れを止めるイメージが少し違います。身近なシーンで、イラストにするとこんな感じでしょうか。

「耐震」は揺れを、堅さで止めるイメージ。
「制振」は揺れを、吸収しながら止めていくイメージ。

「耐震」は一方からの力に瞬間的に耐え、残った揺れが戻っていきます
「制振」はずぅっと前後に寄り添いながら、揺れを吸収し続けます

「耐震」は止める側もダメージを負います
「制振」は止める側がダメージを負いません

少し「耐震」と「制振」の違いイメージ沸きましたか?
ガツンと止めるのと、ジワジワ吸収する違いでイメージして下さい。

 

・実際の建物における役割

実際の建物では、「制振」のみで使用する事はなく「耐震+制振」で使用します。
まずは「耐震」が基本になるので、「耐震」より「制振」が重要などという事はありません。両方使用する事で、「耐震」で受けるのが辛い大きな地震エネルギーを「制振」が吸収する役割分担になっています。

「制振」を採用する効果は、

1.地震による揺れが小さくなる

制振ダンパーは、地震のエネルギーを吸収することで、揺れをどんどん減衰しています。揺れが小さいと、安全に避難する事ができたり、室内の物の転倒や落下を少なくしたりできます。
建築基準法の耐震基準は「人命を守る」ための基準ですが、制振ダンパーの採用は「さらなる安全」を確保します。

2.繰り返しの地震に対して強くなる

地震による揺れが小さくなると、建物各部に生じる変形が少なくなるので、耐震部材に生じる変形も小さくなります。これにより、大きな地震で耐震部材がダメージを負うことを防ぐことができるのです。

 

・大きな地震が2回くると、、、

2016年の熊本地震では、震度7の地震が28時間の間に2回発生しました。こうした繰り返し起きる地震に対して、制震ダンパーは大きな効果を発揮します。

「耐震」のみの建物が大地震を受けると、一見耐えた様に見える建物でも、大きなダメージが残っている事があります。具体的には、筋交いの破損や構造用面材の釘の緩みや破断が生じます。この様にダメージを受けた耐震壁は、地震に耐える力が極端に弱まっているので、次に大きな地震がきた際に耐えられません。
「制振」を採用した建物では、制振ダンパーが大きなエネルギーを吸収する事で、耐震壁へのダメージを防ぎ、繰り返し大きな地震があっても耐える事ができるのです。

 

・制振ダンパーならどれども良いの?

制振ダンパーには様々な種類があります。実は、なかには効果が低い(場合によっては全く効果がない)ものがあります。1個のダンパーで吸収できるエネルギーが小さく、1棟に沢山の制振ダンパーを設置しないといけないケースなどもあります。
私見ですが、効果の低い製品が多いのは、制振ダンパーがもともと鉄骨造やコンクリート造の技術だったことによると思います。鉄骨造やコンクリート造で効果のある形状をそのまま木造に転用しても、木造では柱などの周辺部材が柔らかい為、地震のエネルギーが周辺に逃げてしまい、ダンパーに適切に伝えられないのです。
こうしたなか、近年では統一された評価基準を整備する流れが進んでいます。部材自体の能力ではなく、実際建物に組み込んだ時にちゃんと性能を発揮できるかが明らかになるようです。

 

・イオスホームが自信を持ってお勧めする制振ダンパーはこれ!

イオスホームでは、制振ダンパーを設置する場合はこちらの「ガーディアン・フォース・ハイブリット」を使用しています。この制振ダンパーは、木造専用にいちから開発されたもので、実際に建物に設置した際の効果が非常に高いため採用しました。写真からでも、とても強固に建物に固定されているのが伝わってきますね♪これにより地震のエネルギーを逃さずダンパー部分に伝えることができます。高価かつ施工の手間がかかる物ですが、確かな効果があるため使用しています。

「施工の手間がかかる」

=「強固に建物に固定されている」
=「エネルギーを逃さず伝え・吸収できる」

ということです♪

 

・最後に

最後に、建物の地震に対する強さで一番大切な物は「設計の技量」です。話をひっくり返してごめんなさい。
シンプルな外形の方が地震に強いですし、耐力壁のバランスが良い事も重要です。柱の量や、直下率(1階と2階の柱が上下で揃っている事)も重要です。弱い設計の建物に、沢山、耐力壁と制振ダンパーを加えたからと言って急に強くなる訳ではありません。
充分な耐力壁と、効果の高い制振ダンパーを適切に配置する事が重要です。設計士のアドバイスを受けながら、オシャレで、地震に強い家を目指しましょう!

 

以上、制振ダンパーについて紹介してきました。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
地震に強い家づくりの参考になれば嬉しいです。

 

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